「ホームレス早大生【#1】」文学部8年生のホームレス




その男は、大きな黒いバッグを背負ってやってきた。小柄な女性なら1人は入れるかというようなバックパックだ。

自分のことを『榊原』と名乗った彼こそが、早稲田大学22号館で寝泊まりをしている男「ホームレス早大生」

2時間にわたる編集部の独自インタビューに応じた彼の口から出てきたのは、早大生による驚くべきホームレス生活だった!

「つーつーおーる!」編集部が総力を挙げてお送りする自分語り調の連載「ホームレス早大生」全4回の第1回目です。

怠慢で留年、そして休学

榊原さんは現在早稲田大学文学部に在学している学生だ。

入学は2008年で、1年間休学していたため大学生活は9年目を迎えている。2008年といえば、現在1年生の早大生は小学校の高学年であった頃だ。

彼はどうして、大学8年生になり、ホームレスになってしまったのだろうか?

榊原さん」

は、大学4年になるまでは比較的普通の早大生だった。大学1年生から4年生まではコンビニのバイトや、居酒屋のキャッチのバイトをしていた。活動に毎回参加していたわけではなかったが、サークルにもよく顔を出していた。

しかし、4年の前期が終わった時点で大学を4年で卒業することが難しいとわかる。

まったく言い訳できないません。単に勉強をしなかったから留年したんです。

留年が決まってすぐに、彼は愛知県の実家に留年を報告しに行った。そこで榊原さんは親から、留年をするならば仕送りはしない家賃も払わない、そして学費も一切出さないと言われたのだった。

援助を打ち切られたことは、これまでひたすら親のすねをかじり続けてきた榊原さんには最もこたえた。

その時休学をしないと退学になるところでした。

榊原さんはその頃、所沢に住んでいた。所沢と高田馬場間の定期代を合わせたとしても、早稲田の近くに住むよりも断然安かったからだ。家賃は6.5帖で4万6千円だった。

この時点であと1年このまま生活するのは絶対無理だなと思いました。生活費や家賃や学費も合わせると、どう考えても赤字になる。

仕方なく、榊原さんは、2012 年4月から2013年3月にかけて1年間休学をしようとしたのだ。

試練の休学面談

学部によって異なるが、文学部の場合は申請をして、休学を希望する学生と面談をしなければならない。

先生の空いてる日が決められていて、それに従って先着順で面談日程が決まるのだ。決意したその日のうちに事務所で休学する理由を書いた紙を提出し、面談の日程を決めた。

面談では必死でした。ひたすら口から出まかせです。

本来休学するには、大学に通うことのできない正当な理由が必要だ。理由は経済的困窮留学など、およそ榊原さんには似つかわしくないものばかり

しかし、何時間も休学制度について調べ上げた榊原さんは「その他」という理由に賭けた。

休学面談は困難を極めた。母親が入院していると言ったり、家族が借金を抱えていてお金がないと言ったり、嘘八百ついて、どうにか休学しようと試みたのだ。結果的に榊原さんは2回面談をし、期限ぎりぎりで休学を勝ち取ることができた

実は休学申請が受理されるのは5月30日までなんです。それまでに親と自分のサインを書いて提出すればいい。
でも実は、4月30日までに休学すれば支払うのは5万円ちょっとだけでかなり得に休学できます。5月に入ると半年分の学費を払わなくてはいけなくなるので、面談の先生に無理を言って4月中に申請をさせてもらいました。

その後、榊原さんは休学の許可をもらった人だけがもらえる紙に必要事項を記入し、事務所に再度提出した。

これによってさんは1年間の完全に自由な時間を得たのであった。

何も変わらなかった休学期間

休学したことによって榊原さんはひとまず延命された。

ひとまず差し迫った危機は回避したといった感じで、安心してしまいました。

しかし、休学中に一生懸命バイトをして学費や生活費を貯めればよかったのだが、榊原さんはますます快楽にまみれた自堕落な生活をしていた。居酒屋では散財し、パチンコにも通うようになった。
その頃にはアルバイトで1か月に14‐15万くらいは稼いでいたという。だが、休学していたのでバイト増やそうと思えば増やせたのに、それをしようとはせず、生活費を切り詰めることもしなかった。

結局、思ったよりもお金がたまらないことを知った榊原さんは、大学生5年目の夏休みに部屋を出払ってしまう

食費をけずると生きていけない、学費を払わなければ退学だけど、家賃を払わなくても生きることはできるな。と思いました。

命を保つことができるなら何とかはなるだろう、と榊原さんは考えたのだという。仕方なく住所は実家のある愛知県にしたが、当時のバイトが全く人手が足りなかったこともあり、「住所が例え愛知になったとしても働いてくれるならいいよ。」と言われたという。

大学生5年目にして、名古屋を拠点にした学生生活が始まろうとしていた。

「ホームレス早大生【#2】」毎週のヒッチハイク生活

榊原さんへのは2016年6月21日未明に早稲田大学22号館にて行ったものであるが、榊原さんが大学に所属していないのを確認し、2017年4月に特集記事の公開を行った。
学年などは2016年6月21日現在のまま記述している。

 




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