早稲田大学法学部生の珍回答が面白すぎる民法試験が話題に!




早稲田大学の中で、法学部は政治経済学部と並ぶ看板学部である。
数多くの司法試験合格者を世に輩出する一方、早稲田の文系学部の中で最も定期試験が難しいことで知られている。

配られる解答用紙には30本ほど線が引いてあるだけ。試験時間は他学部の試験と変わらない60分。試験では、問題用紙に一行しか問題が書かれていないなんてザラにある。
授業で教わったことのほんの一部しか出ない試験で、初めて大学の試験を受ける法学部1年生は教授に納得してもらえるような答案を時間内に書きあげないといけない。
そんな試験がほとんど時間を空けずに詰め込まれる過酷な法学部の試験では、自分でも思ってみなかった分野から設問されること、全く歯が立たない問題が出されることも多い。

これから紹介する答案は、早稲田大学法学部の1年生の民法の試験で、なんとか単位をもらおうとした大学生の答案である。

ちなみに、ここに紹介された答案を書いた生徒は、そのあともれなくF評価(不可)をもらったという。

早稲田大学校歌(都の西北)

大学への忠誠心を表すために早稲田大学校歌を書けば、設問に関係なく単位が保証されるという俗説がある。しかし、もちろんそんなことはない。
答案に校歌を書きたがる生徒はもれなく1番しか書かないが、3番まで書いていたら結果は違っていたのかもしれない。

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早稲田大学校歌(都と西北)と早稲田大学応援歌(紺碧の空)、Mr.Childrenの歌

試験答案で忠誠心を表現したい早大生の中には、校歌と応援歌を書きたがる者も多い。
1番以外も覚える気があるなら、その時間で民法の語句の一つも覚えてほしいものである。
ミスチルの歌については、特に言うことはない。
再履修で「もう一回もう一回」と授業を受け、「終わりなき旅」を楽しんでほしいものである。

1

嘆願書

「もっと書きたいのですが、時間と知識が足りないので手紙という名の嘆願書を書きます。」
という書き出しで始まる教授への嘆願書。前期民法を落としていて後がないこと(※)、自分なりに知恵を絞って答案を書いていることを評価してもらい、可と不可で迷っている場合には可にするように求めている。もちろんあっけなく不可になり、通年で民法を落とした。

2

平穏な人生の通過点として

「単位を取って無事に卒業して、就職をして、結婚、出産と、平穏な人生を送り親孝行がしたいんです!」という語句が印象的なこの解答は、1人の父であろう教授の心を動かし、ついつい単位を与えてしまう・・・・こともなく、例にもれずF評価(不可)を付けられている。
後段の嘆願書では、「どうか!」としか言えないボキャ貧具合が評価され、F評価(不可)を受け賜っておられる。

3

ゴマをする

前段では、「今日で私は制限行為能力者でなくなりました(笑)」という意味不明な書き出しで始まっており、民法の権威である先生も頭を大いに悩ませたに違いない。また、答案に(笑)マークを使ったのは後にも先にも彼だけだろう。
後段では、典型的なゴマすりが行われている。
「毎週必ず出席していて、授業開始時間(13:00)以降に入室したことはなく、復習も前日までにしっかりと済ませていた。なぜこんなに頑張れたかというと民法が好きだからである。しかし、単位がもらえないと嫌いになってしまう。」という彼の文章には、民法を愛する気持ちや勉強意欲を垣間見ることができ、ついつい甘やかせて単位を与えたくなってしまうだろう。だが、答案を完成させられなかった彼を信じることはできない。

4

神様、仏様、近江様 単位を下さいませ。

「若くして認知症にかかった」かわいそうな生徒に祈られる、日本民法の権威の教授。
神様、仏様と同列に扱うことで彼に単位が来ることは・・・・・なかった。
後段では、授業の内容に絡めて「失踪」という語句を使ってみたが、失踪したのは彼ではなく単位の方だった。

5

家族の病気

敬愛する偉大な近江様に対して、顔文字を使う、「救けてー」と言ってみるなどやりたい放題の早大生。
母親が体を壊したので青森県に帰省などはありそうだが、「病気の父と、アル中の母と、幼い弟姉がいます」は完全にフィクション。そもそも幼い姉ってなんだよ。
「ウソです。すいません。」と謝ってしまうのも憎い。

6

本題から逸れて言い訳

気が動転して問題の意味を取り違えることは十分にあり得ることを力説している。その理由である、「大学生になって初めての定期試験」「慣れないボールペン」「過去問から予想される問題と現実の問題との相違」の3点が根拠として薄弱であることから彼はF評価(不可)となった。

7

相対的構成説の信者

前段の彼は、鬱になって家から出ることができなかったものの、パワポを多用する先生への敬意を存分に表現している。
対して、後段の彼は問題文とは全く関係のない失踪宣告に関する知識を書き、絶対的構成説信者ではなく、相対的構成説信者であることを強く主張している。
通説ではない相対的構成説は、言わずもがな、この教授が特に主張する説の1つである。

8

答案を埋めるための自分語り

一切問題については触れずに相続の定義について語りだし、6行目からは自らの実家のこと、ドラマの話、筋力トレーニングにまで話が飛ぶ想像力の高さは、評価されてしかるべきものである。
再後段に書かれている「来年やります。ごめんなさい。」という文章からは、再履修に向けた秘められた熱意を感じることができる。F。
9

勝手に問題を設定して解答

「自分の考えが書けそうにもないので、せめて虚偽表示について述べたいと思います。」から始まる文章。おそらくこの民法総論受講が5回目の彼は虚偽表示しか勉強していないのだろうが、残念なことにF評価(不可)をもらうこととなった。
後段の彼は、「最も勉強しているところ」として失踪宣告を選択。
単位は失踪して、利害関係者によって1年後に特別失踪が宣告された。(留年)

10

家庭環境の悪化が勉学に及ぼす影響

出題された問題とは全く異なる、二重譲渡とその背信的悪意者からの転得者について書いてしまった彼。彼は4人の兄弟を自らで養っているという。炊事、洗濯、送り迎えなど、何から何まで面倒を見ている。自分の体に鞭をうち、家事にいそしみながら勉強をしてきた彼は、あろうことか相続分野だけ手が回らなかったという。
早稲田大学法学部を卒業したあかつきには、このような貧困に正面から立ち向かえる人材になってほしいと心から思っている。
「あの青年は人の幸せを願い、人の不幸を悲しむことのできる人だ。 それが一番人間にとって大事なことなんだからね。 彼なら、間違いなく君を幸せにしてくれると僕は信じているよ。」
『のび太の結婚前夜』でしずかちゃんの父親が言ったこの言葉は、社会が求める理想の弁護士像を的確に表していると言えるだろう。

11

算用数字と1行おき

特に言うことなし。

12

欲望と称賛のバランス

教授が授業中に使用するパワポの絵をほめることで、授業に出席していたことを暗に示す高等テクニックが用いられている。
顔文字や、ハートマーク、(笑)マークなど教授に親近感を抱かせる工夫がされていて、解答用紙に並び立てられた賞賛の言葉は本心からのように思われる。
最後段に書かれている「単位ほしいです。欲を言えばいい評価でお願いします。」という本音が見えるのが唯一のマイナスポイントだ。

13

直球と変化球

「近江先生、お願いします。単位を下さい。」というあまりにストレートすぎるお願いをした前段の彼。行を稼ごうとして文字間を空けて書いていたが、切羽詰まって懇願する場面では文字間を詰める、基礎的な漢字をミスするなどバカ丸出し。
「去年落としてしまったとき、実家の母が泣いてしまい、これ以上心配をかけるわけにはいきません。しかもサークルの幹事長である身として、サークルを辞めろと言われてしまって困ります。」という文章を書くことができる強心臓の持ち主(後段)は、自らが重点的に勉強した範囲を列挙することで許しを請うしかなかった。

14

いかがだっただろうか。

これらの試験解答は、採点をしている教授が採点中に見つけたものだ。
一言付け加えるならば、生徒の試験解答を授業内で見せる是非について議論する必要は全くない。
なぜなら、毎年のように教授が「問題に関係のある部分以外は採点の対象にならない」と言っておきながら、毎年のように解答用紙に嘆願文を書き連ねる法学部生がいるからである。
試験中に、いままで勉強した成果を発揮することを諦め、無駄な作文に時間を費やす生徒の答案を名前を伏せた上で公開することは、学部生にやる気を起させるために非常に役立つものになると確信することができる。

今日も早稲田大学法学部生は、一歩一歩と近づいてくる強敵を想像して、睡眠不足に陥るのである。




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