「体育会に所属している学生は就活に有利だ。」
就活をしているとこのような噂話を聞くことが多い。だが、実際のところは分からない。早稲田大学の部活に所属している学生の就活はどのぐらい有利なのだろうか。
そこで、実際に現在早稲田大学の強豪体育各部に所属している学生に取材を行なった。もはや別ルートであからさまな優遇を受けている体育会所属学生の姿がそこで明らかになった。
初めて就職を意識するのは「大会」時
強豪といわれる大学の部活になると、大会には必ず企業関係者が来ている。それは実業団に優秀な選手をスカウトするためだ。神戸鉄鋼所のラグビー部、オービックや富士通のアメフト部、NTT東日本のバドミントン部など毎年大会で優勝するような名門実業団が存在する。そんな実業団のスカウトは、大会会場で選手に目を光らせているという。
「全国制覇したとき、表彰式の後で、会社の人が “実業団でも続ける気があるなら待っています。連絡してください。” と言ってきたことがあります。また、全国制覇していなかったとしても、そのスポーツを支援している会社に自主的に面接に行けば優遇されやすい。」
大会で結果を残して名門実業団から声がかかるような選手だと、ほぼ確実に自分が行きたい企業の内定をもらっているという。
「自分の部活を見ていると、7~8割は第3希望までに就職が決まっている。団体で優勝しているので、レギュラーだったかどうかに関係なくこの数字です。」
まだまだある優遇措置
取材を行った部員によると就活で優遇されていると感じる点には他に、
・体育会専門の就活サイトが充実している
・練習等で忙しく、就活しづらい体育会系部員のために特別イベントを設けてくれる
・OBやOGなどが部活に話をしに来てくれる機会が多い
などがあり、挙げればきりがないという。
そして、彼らは就活でのOBやOG、スカウトなどとの面談で共通の話題があり、趣味も合うことが多いため、話が弾みやすいというのだ。
留年には最大の注意を払うべし
そんな就活で優遇されている体育会系部員ではあるが、特に気を付けなければならないのが「留年」だという。
体育会に所属していない人は耳慣れないだろうが、実は早稲田の体育会各部には「早稲田アスリートプログラム」という指針が存在する。
そこには、以下のように書かれている。
競技スポーツセンターが全部員の学業情報(登録科目・2.修学支援単位取得状況・GPAなど)を学期ごとに把握し、所属する学部・体育各部部長と連携して、部員が学業成績不良者となることを未然に防ぎ、標準修業年限(4年間)で卒業できるようサポートします。
すべての体育各部部員の学業情報の把握
各学年・各学期末毎に取得すべき最低基準単位数を定め、標準修業年限(4年間)での卒業をサポートすることで、文武両道を高いレベルで実現します。学業成績が所定の基準に満たない場合には、練習時間の制限や対外試合の出場停止を含む指導を行います。
つまり、学業成績があまりにも悪かった場合には練習時間の制限や対外試合の出場停止となる場合があるというのだ。実際に練習時間の制限がされても真面目に勉強せず、5年生になってしまうアスリートたちも一定数いるということだ。
入社は約束されているが、キャリアまでは保証されていない
部活で結果を残し、意気揚々と入社してくる体育会系社員はキラキラして見える。彼らの潜り抜けてきた練習はおそらくほとんどの人が途中で悲鳴を上げてしまうような苦しいものだろう。そんな練習を4年間してきて、大会での結果を残した人がストレス耐性が高いのは当然だろうし、仕事には高いストレス耐性が必須でもある。
だが、彼らの多くは30代半ばで壁に当たってしまうことが多いと指摘する声も多い。
部活でつづけたような努力を会社に入った後もガムシャラに続けるだけではダメなのだ。学生時代に身につけられなかった「高度な知識」を身につけることで「出世する」体育会系出身者となることができるのだ。
「就活なんてなんでもない。」と言っていた学生は、10年後に「こんはずじゃなかった。」と思わないように就活で最もすべきことはなにかを自発的に考えるべきなのだ。