加速する引退公演化 「早稲田祭」がいらなくなる日とは?




進む「引退公演化」の背景にあるもの

チアリーディングチームのSHOCKERS(ショッカーズ)やストリートダンスサークルSesSion(セッション)、よさこいサークル東京花火が大隈講堂前ステージでパフォーマンスを行わない早稲田祭まで、残り半月を切ろうとしている。

大隈講堂以外のステージで踊ることを余儀なくされた団体は、それぞれ別のステージで踊ることを余儀なくされるが、残るのは言いようのない不完全燃焼感だろう。

OF(オープニングフェスティバル)とEF(エンディングフェスティバル)を含め、併せて4つの企画に出演することになるショッカーズは、いわば「早稲田祭2015」の“客寄せパンダ”と化してしまっている。

そんな中、今年度パフォーマンス団体の間でさらに進みそうな動きが、「引退公演化」だ。

これまで「早稲田祭」が3年生にとって就活前の最後の晴れ舞台だったが、11月や12月にパフォーマンスサークルの引退公演が新たに立ち上がり、そこで引退する例が増えている。

著名な早稲田のサークルで、引退公演を行っているサークルは、

SesSion
Waseda University Breakerz
Briliant Pinks
TAP‐lovers
Seiren Musical Project

の5つ。

これらはどれも早稲田大学の花形パフォーマンスサークルでありながら、早稲田祭では引退しないのだ。「引退公演」をしてまで引退を先延ばしにする理由は何なのだろうか。

1つ目は、早稲田祭の演技時間が短く、サークルの持っている良さをすべて出し切れないことが多いからだ。例えば、ストリートダンスサークルのSesSionやWaseda University Breakerzは、それぞれのジャンルで持ち時間が5分となっている。
400人が在籍していて、6つのジャンルに別れているサークルとしては、一つのジャンルの持ち時間が5分はあまりにも短い。

2つ目の理由は、就活だ。今年3年生の学年では、就活解禁が4月からと後ろ倒しになった。その影響で、就活を始めるのを遅くした3年生がギリギリまでサークル活動をするために、「引退公演」を企画しているのだ。もちろん、サークルに力を入れたからと言って必ずしもそれが就活で評価されるとは限らない。

3つめに考えられる理由が、「早稲田祭」の影響力が弱まってしまっている点だ。
いくつかのサークルの有志によって立ち上げられた新生「早稲田祭」は、そもそも早稲田文化発信の場としてのものであった。しかし、「早稲田祭」運営スタッフが団体と距離を取って、縛りを増やす方針を打ち出したため、早稲田大学のパフォーマンス団体による「早稲田祭」離れが起きている可能性がある。
例えば、早稲田祭のステージで演技する団体は、その後に行われるいかなる公演の告知もしてはいけない。この規約のせいで、「早稲田祭」で演技をすることが、「来場者に対してのサークルのアピール」にとどまってしまい、来場者がそのサークルの講演を見にくる機会を一部奪っているともいわれている。

パフォーマンス団体にとって、「早稲田祭」がいらなくなる日は案外近いのかもしれない。




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